カプセル薬の飲み方
ちょっと昔の話です。
(冗談ではなく、本当にあった話です)
妻(タイ人)が風邪をひいた。なかなか治らないので、チェンライの町の病院(シーブリン病院)へ連れて行って、風邪薬を貰って来た。
後日、妻が食事の後で、カプセル薬のカプセルを外して、中身の顆粒状の薬剤だけを取り出し、如何にも、不味そうに飲んでいるのを見掛けた。
不審に思い、何をしているのか尋ねると、彼女が言うには「カプセルはプラスチックだから、そのまま飲んだら、プラスチックが溶けずにお腹の中に溜まってしまう」と言う。
日本では(と言うか、世界中何処でも)、カプセル薬はそのまま飲むもので、カプセルを外して中の薬剤だけを飲んだりはしない。
一瞬、タイは違うのかとも思ったので、一体、誰がそんな事を教えたのか、「医者に指示されたのか」と聞いた処、どうやら母親が「カプセルはプラスチックだから飲んではいけない」と言った、という事が分かった。
まったく・・・、この親子は、今迄カプセル薬を1回も飲んだ事が無いのか、カプセル薬の飲み方を知らないのか、不思議だったが、親の言う事なら無条件に信用してしまう娘(年齢的には娘ではありませんが)にも困ったものだと思った。
カプセル薬はそのまま飲んだ方が飲み易いし、胃の中に収まってから、カプセルが溶けて薬が胃に広がるので、喉とかに薬が触れる事もなく、安全性も高い。
なので、次からは、「カプセルごと飲む様に」と話した。
さらに、「カプセルはプラスチックではなく、でんぷん(注1)で出来ているので、飲んでも大丈夫」と付け加えた。
(注1、「でんぷん」と言うタイ語が分からなかったので、「小麦の粉」と言い換えて説明した。後で調べたら、「でんぷん製」のカプセルも有るらしいが、普通は「ゼラチン」という事であった)
しかし、妻は親に言われた事を信じているし、自分も、もしかしたら「タイは違うのか?」という疑いも、ほんの少しあったので、胃の中で溶けなかったら困ると思い、実験して見る事にした。
コップにぬるま湯を入れ、先程の使用済みのカプセルを落とし、妻の目の前でコップを揺すっていると数分で、カプセルは見事に溶けて無くなった。
(結果としては当然なのだけれども、溶けなかったらどうしようかと思っていたので、ちゃんと溶けて良かった) (^o^)/
この件はこれで解決して、妻も納得したから良かったが、半未開の(田舎の)タイ人の中で暮らしていると、日本じゃちょっと考えられない様な事、常識の欠如した事はよく起こる。
しかも困った事に、タイ人(妻の事です)は、割りと頑固なので、親兄弟以外の人間(私の事です)の言う事は、簡単には信用しない。
そういう時は、「こっちの方が君達よりも、ずっと長く文明人をやっているのだから、君達一族が束になったよりも、文明人としての知識は私の方がずっと有るのだよ」、と言ってやりたくなる(でも、言わない)。
これも昔、日本に行きたいと思っているタイ人が居て、妻の一族が十数人集まって話しをしている所に同席した事がある。
話は「ビザが簡単に降りないので、どうすれば良いか」という事で、そのうちの誰かが「お金を沢山払えばビザが降りる」という事を言い、自分に同意を求めて来た。
自分としては「タイはどうかは知らないが、日本はそんな賄賂でビザが取れる国では無い」と主張したのだが、相手はなかなか納得しない。
「知り合いに、お金を積んで日本へ入国した人が実際にいる」、と言う。
それは、多分、不法入国を斡旋する業者に依頼して、違法な手段で入国したのかも知れないと思ったが、当時の自分の語学力(今でも?)ではそれを説明出来なかった。
だいたい、チェンライ辺りの田舎のタイ人は、不法入国も合法的入国も明確に区別していない(区別出来ない?)という気がする。
方法はどうであれ、結果として日本に入国出来れば同じ事、と思っているフシがある。
(勿論、実際に不法入国しようとする人は、自分が違法な事をしている、という認識はあると思うが、それを見ているだけの、外野は結果だけを見て、途中経過はどうでもいいと思っている。自分の家の辺りのタイ人の遵法意識なんて、せいぜいこんなもんです。)
この時は、結局、自分達の都合の良い様に(事実を無視して)解釈するタイ人に(多数決で)押し切られる形で、「金を積めば何とかなる」と言う結論になった(ようだった)。
こういう人達の中で暮らして居ると、何でこの程度の常識がないのかと、頭がクラクラする時がある。
これは、つい最近(1ヶ月程前)の話。
娘が、自分の部屋へ来て、「携帯の電源を切れ」と言う。
その時は、外でカミナリが鳴っていて、「携帯の電源が入っていると、そこにカミナリが落ちて危ない」、と言う事らしい。
何を馬鹿な事を言っているのだと思ったが。
どうやら妻に入れ知恵された様子で、妻には昔から「そんな事は無い」と何度も言っているのだが、未だに分かっていない。
妻は多分、お兄さんか誰かから、そう教わったのであろう。
兄弟そろって、全く・・・。
もう少し、全体の知的レベルを上げないといけないと思い、(妻と親兄弟には期待出来ないので)娘に期待しているのだが、気を付けないと、娘も同じレベルになってしまう。
(その為もあり、娘は1年間、日本の小学校に通わせたのだが、それだけでは足りない様なので何か考えないといけない。娘には普通の文明人に成って欲しいと思っている。)
以上の様な「アホ」な話はいくらでも有ります。
今回はここ迄で、続きはその内。